造影剤の種類・副作用症状の知識

造影剤の副作用症状の特徴、造影検査の種類、同意書・インフォームドコンセントの概念の解説。

◆造影剤の種類・副作用症状の解説(もくじ)

◆造影検査に使用される造影剤の条件

 未破裂脳動脈瘤が確認された場合は、早い段階で手術を検討するケースも増加しております。未破裂状態の場合は必ずしも手術によって脳動脈瘤を除去する必要はないもののやはりいつ破裂するかどうかわからない状況での日々の暮らしは不安を伴うためです。脳動脈瘤に限らず、このように事前に血管の状況を確認する際にも造影剤を使用する造影検査が実施されます。造影検査の重要性はより詳しい状況を事前に把握することにあると言えます。但し、人体内に導入する造影剤は人体に対して負荷の少ないできる限り安全性の高い成分であることが求められることは言うまでもありません。ここでは、造影剤の危険性に対する心構えと、造影剤に求められる必須条件について見ていきましょう。

◆手術前により詳しい状況を把握する為に造影検査は必要である

 造影剤は、前項で解説したとおり、
●X線写真に鮮明に映し出すことが出来ない器官
 をX線の透過性の低い物質を導入する事で映像のコントラストを高める為に使用されます。

 単純レントゲン撮影よりも、より高度で鮮明な映し出す「CT」に関しても、組織が病魔に冒されているかどうかの判断に至るまでの映像を映し出す事は難しい為、半数近くが造影検査を行なっているのが現状です。

 手術などを行う際は、やはり
●本当にその手術を行う必要性があるのかどうか?
●手術時間を迅速に行うためにどのような手術計画を組むべきか?
 など、事前により細かいプランとあらゆる状況に応じた事前に想定される状況を確認しておかなくてはいけません。

 その為にも、やはり造影剤を使用する事前の検査は重要な役割を担っていることは間違いありません。

◆造影検査は危険性を伴う検査であることを把握する

 造影剤を使用する造影検査の重要性・必要性は理解できたかと思います。
 但し、ここでやはりしっかりと把握しておきたい事は、造影検査とは、
●体内に異物を導入すること
 によって可能となる検査であるという点です。

 不安を募るような言葉に聞こえるかもしれませんが、もちろん驚かそうとしている訳でもなく、危険性を伴う検査である事を事前に把握した上で検査に挑む心構えを持つことが重要という意味です。
 造影検査を実際に行った事がある方はご存知かと思いますが、検査の前に必ず「同意書」と記載されている書類にサインをする事が求められます。(詳しくは後述)
 その為、造影剤として使用される成分については、幾つかの造影剤としての満たすべき条件があります。

◆造影剤検査で使用される成分の必須条件

 造影剤として使用される成分はまず何よりも体内への危険性及び負担が少ない事が最低限の条件と言えます。
 また適切な効果を満たす為にX線の透過性の低い物質であるべき事は言うまでもありません。
 これらの条件を満たす有能な造影剤としては健康診断などで行われるバリウム検査などで知られる「バリウム」が有名ですね。
 以下に造影剤の必須条件として考えられる要素をあげます。

【造影剤検査の必須条件】
●検査の対象となる周囲組織との「X線減弱係数」の差が大きい成分であること
●化学的に安定している分子構造であり生体に対して副作用が少ないこと
●検査後に速やかに人体から排泄されること

 以上3点が最低限求められる造影剤としての条件と言えます。
 特に、安全性が確認されている、人体に負荷の少ない成分であり、かつ検査が終了後に速やかに体内から排泄される成分であることは重要な指標です。
 また、条件を満たす可能性をもつ成分が今後新たに発見されたり、医療技術の発展に伴い開発される可能性もまだまだ十分にあることを示しております。