頭・頭皮のおできの発症原因・治療法の解説

頭・頭皮のおできの発症原因、症状の特徴と治療法の解説。

◆頭・頭皮のおできの発症原因・治療法の解説

◆おできとは?

 おできとは、人体の主に「毛穴部分」に発生するできものの事です。
 おできは、炎症性の皮膚疾患であることから、基本的におできの治療に関しては「皮膚科」の診察を受けて治療を行っていくことになります。

 一般的に呼ばれているおできせつとは、比較的大きな形状のおできのことを指します。

※おできせつ=やや大きなできものやせつ等

 尚、余談ですが、おできは「サイズ」によって以降のように呼ばれる名称が変化していきます。

◆おできのサイズ別名称

①小さいもの⇒毛包炎
②やや小さいもの⇒せつ
③大きいもの・複数のおでき⇒よう

 通常、一般的に認知されている「おでき」は①の毛包炎にあたります。

 毛包炎はわかりやすく言えば、赤み・腫れを伴う毛穴の毛包と呼ばれる部分に発症する湿疹症状のことです。

 毛包炎がやや大きめのおできに成長すると「せつ」もしくは「おできせつ」と呼ばれるようになります。

 更に、複数のおできが触れ合ってひとつの大きなおできへ成長してしまったものを「よう」と呼びます。

「おでき・せつ・よう」の図

 毛穴部分に発生するおできは、特に毛穴の集中する頭・頭皮部分に多く発症する傾向にあります。

 また、アトピー性皮膚炎を持っている敏感肌の方に多く発症する傾向がある点もおできの大きな特徴です。

★敏感肌の人、アトピー性皮膚炎の人はおできができやすい傾向にある
★頭部、頭皮部分の毛穴はおできができやすい

◆おできの症状の特徴について

 おできの症状の特徴にはどのような症状があるのでしょうか?

 まずおできの代表的な症状としては以下のような症状を示す傾向が見られます。

●赤み症状
●腫れ症状
●水ぶくれ症状
●かゆみ症状
●痛み症状

 またこれらの症状は単独で現れる場合や、複数の症状が合わさって自覚症状として確認されることが多いのもひとつの特徴です。

◆おできの段階的症状

 おできが比較的大きなものに成長すると、ほぼ100%の確率で痛みを伴うようになります。

 患部の中心部分に触れると痛みを感じるのが初期段階のおでき症状の特徴です。

※おできの中心部分を軽く指で押してみましょう。この際、痛みが走るようであればおできの可能性が高くなります。

 尚、更に症状が悪化するとおでき患部のまわり部分に触れるだけでも痛みを伴うようになってきます。

※おできの中心部分の周り1センチ程度の場所を指で軽く押してみましょう。この際に強い痛みが走る場合は進行が進んでいる可能性があるため皮膚科の受診が必須です。

 この痛みは期間が経過すると共に強い痛みに変化していくことも多くあります。

 この段階まで症状が進行している場合は、必ず皮膚科の診察を受け薬物療法を検討しなくてはいけません。

 尚、この段階の薬物療法では炎症を抑えこむためにステロイド薬の使用も検討していくことになります。

◆頭・頭皮のおできの原因について

 頭・頭皮のおできの原因のひとつに脂漏性湿疹と呼ばれる皮膚炎があります。

 脂漏性湿疹とは、皮脂の中に含まれている「トリグリセリド」と呼ばれる成分が、「癜風菌」によって分解され遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)が生じることによって発症する皮膚疾患のことです。

※脂漏性皮膚炎とも呼ばれます。

◆脂漏性湿疹の症状の特徴・発症原因について

 脂漏性湿疹の発症原因は医学的にまだ詳細な解明はなされておりません。

 脂漏性湿疹の症状の特徴は以下の通りです。

●主に頭部・顔部に発症するかゆみを伴う(比較的軽いかゆみ)
●やや痛みを伴う季節の変わり目などに発症しやすい
●冬場など乾燥期に悪化しやすい
●腫れは赤みを帯びている

◆乳児脂漏性湿疹とは?

 乳児脂漏性湿疹とは乳幼児に発生する脂漏性湿疹やおできの事を、乳児脂漏性湿疹と呼びます。

 症状は大人のケースと同様の症状を発症します。

 しかし、乳児脂漏性湿疹の大半は「成長に伴い軽快する」という傾向が見られるのが大きな特徴です。

※乳児脂漏性湿疹の多くは成長とともに症状が緩和されていく傾向にある

 逆に老人期に発症が確認されるケースでは、なかなか症状の完治はなされません。

 但し、乳幼児期に乳児脂漏性湿疹を発症している子供が「アトピー性皮膚炎」への経過を辿るケースも多く、なんらかの関連性がある可能性が検討されております。

  赤ちゃんはもともと皮膚組織も弱く敏感肌である為、湿疹症状が現れやすいものです。

 我が子に湿疹が突然発症すると不安が募りますが、あわてずに皮膚科の診察を受けるようにしましょう。

◆頭皮のおでき状の腫れが大きい場合

 頭部・頭皮に発症したおできのサイズが比較的大きいケース。

 見た目としては「ドーム状に盛り上がっている」「赤みが見られない」などのケースのおできの場合は、「脂肪腫」と呼ばれるおできの可能性が考えられます。

脂肪腫の図

 脂肪腫とおできの症状の大きな違いは、患部の盛り上がり具合です。

 ややぷよぷよした感覚で大きく盛り上がりが確認できるケースでは、脂肪腫の可能性を検討していきます。

※おできが大きく盛り上がる場合は脂肪腫の可能性が高い

◆脂肪腫とは?

 脂肪腫とは、その名称どおり、脂肪の塊が皮膚内に蓄積される皮膚疾患です。

 腫瘍と聞くと、恐怖を感じる方も多いかもしれませんが、腫瘍には「悪性と良性」の腫瘍があり、脂肪腫の大半は良性腫瘍です。

 しかし、サイズが大きくなることもあり、外見的にも腫瘍の存在がわかるため「精神的」にも苦痛を伴うケースがあります。

 脂肪腫は、時間の経過とともに徐々に小さくなっていく最終的に消えていくことが大半です。

 しかし、長期的に脂肪腫が残るケースでは「手術療法」による摘出手術も行われております。

 尚、脂肪腫の摘出手術は、15分程度の短時間で手術が終了します。

 手術療法で子供の脂肪腫を摘出するケースはごく稀なケースですから基本的には様子を見ながらの治療を行なっていくことになります。