造影剤の種類・副作用症状の知識

造影剤の副作用症状の特徴、造影検査の種類、同意書・インフォームドコンセントの概念の解説。

◆造影剤の種類・副作用症状の解説(もくじ)

◆バリウム造影剤を使用する検査

 造影剤の中でも安全性が高い事で知られるバリウム。このバリウムを使用する検査は皆さんがご存知のバリウム検査ですね。健康診断や人間ドッグの多くでは後半、もしくは最後の検査項目としてバリウム検査が検査項目として記載されております。胃腸の検査とも呼ばれるバリウム検査ですが、この検査は胃腸に発生する多くの病気の早期発見に繋がる重要な検査です。バリウム自体は人体への影響も小さく体外へ早期に排出される為、造影剤としては有能な成分であると言えます。しかし、やはり副作用症状が全くでないという訳でもありません。ここではバリウム検査の流れや検査からわかる病気の種類や稀に発症する副作用症状の特徴などを確認していきます。

◆バリウム造影剤とは?

 バリウム造影剤は一般的に広く知られている造影剤のひとつです。
※硫酸バリウム(化学記号:Ba 原子番号:56)
 バリウム造影剤は見た目は白い粉末形状をしており水に混ぜると白く粘りのある液体となります。
 主に胃や腸などの消化器官の検査で頻繁に用いられ
●人間ドック
 など、健康診断などで既にバリウム検査を行った経験のある方も多いかもしれません。

◆バリウム検査の流れ

 バリウム検査(医学的には上部消化管造影検査と呼びます)で使用される硫酸バリウムは、体内に吸収されることがなく、消化管の内壁に付着し、その後肛門から体外へ排出されます。
 また副作用症状もほとんど現れないことから、前項で解説した造影剤の条件ををしっかり満たしている有能な造影剤であると言えます。

 もちろん透過性も非常に低く経口による服用後、X線の連続照射によって食道から胃、十二指腸、小腸とバリウムの流動的な流れを画像で確認することも可能です。

 バリウム検査では、この消化管の内壁にバリウムが付着している間に、X線撮影を行い胃や腸などの粘膜の形態、疾患の確認を詳細に行なう事が出来るのです。

◆バリウム検査の目的

 バリウム検査が行われる多くのケースは、健康診断などの定期健診によるケースが大半です。

 また腹痛などで病院の診察を受けた際に病気の可能性が検討される場合でも、バリウム検査が実施されます。

 中でもバリウム検査が行われる最大の目的としては胃がんや食道がんを検査によって早期段階で発見できる可能性がある点です。

 もし、バリウム検査で胃にポリープなどが発見された場合は胃がんの可能性がないかどうか?次の検査へ進むことになります。

 現在は医学の進展により「癌」であっても早期治療に取り組めば高い割合で回復が可能なケースも多く出てきております。

 ガン細胞は再発の危険性を常に持つ細胞組織ではありますが、健康診断のバリウム検査によってガンが見つかり、早期治療を行うことで、その後再発をせずに暮らせている方も実際に多くいます。

◆バリウム検査で見つかる可能性のある病気の一覧

 バリウム検査では前述した食道がんや胃がんの他にも慢性胃炎や胃潰瘍などの潰瘍の発見にも有効です。

 バリウム検査で見つかる主な病気・疾患の種類には以下のような病気がありますので覚えておきましょう。

【バリウム検査で見つかる可能性のある病気の一覧】
☆胃がん
☆食道がん
☆胃潰瘍
☆十二指腸潰瘍
☆慢性胃炎

◆バリウム造影剤の副作用症状

 バリウム造影剤検査で使用される硫酸バリウムは非常に優れた造影剤のひとつです。
 「造影剤の条件」の項で解説した造影剤としての条件もほぼ満たしており、分子構造も安定しております。
 その為、硫酸バリウム造影剤の副作用はほとんど現れないのが現状です。

 しかし、硫酸バリウムのごく一部が体内に長期的に残る事があるケースも僅かではありますが確認されております。

 最終的には排出されるケースが大半ではありますが、胃壁や腸壁に長期的に付着した場合は、
●便秘症状
●下痢症状
 などの副作用症状を長期的に発症するケースもごくわずかですが確認されております。

 過度な心配は必要ありませんが、副作用症状を発症した場合は念のため、かかりつけの医師の診察を受けるようにしましょう。