胃カメラの実施時に採取した細胞を検査する細胞検査(細胞診)はどのように腫瘍の判定を行なっているのでしょうか?ここでは生検の必要性とパパニコロウ染色による分類・判定についてチェックして行きましょう。
臓器や筋肉、骨の骨髄などの細胞組織の一部を採取し、顕微鏡で細胞の状態を確認する検査を細胞診、もしくは組織・細胞検査と言います。
また、細胞診を行うために組織の一部を採取することを生検と呼び、主にガン細胞・腫瘍が確認された場合に診断の主力となって行われる検査が生検です。
ガン以外で生検が実施される部位としては肺や肝臓・腎臓・リンパ節・乳腺・子宮の他、筋肉組織や骨髄なども生検の対象となります。
生検は胃カメラから目視でも確認できるような腫瘍がある場合や、映像だけでは症状が疑わしいケースなどでも実施されますが、内視鏡による小さな傷とは言え、ポリープや内壁の一部を切開する事になるため、止血処置や傷口からの細菌感染に関しては最大の注意が必要となります。
その為、肝臓や腎臓などの生検が行われるケースでは、検査より2~3日前から入院をして検査に備えます。
尚、胃カメラ検査で生検が行われるケースで疑われる疾患としては、食道がんや胃がん、そして胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの可能性が検討されます。
胃カメラで仮に腫瘍や潰瘍が確認されたとしても、その腫瘍や潰瘍が良性腫瘍か悪性腫瘍かによってその後の対応は180度変わってきます。
腫瘍も潰瘍も良性と悪性がある為、まず対象部位を採取し判定を行う事が重要視されるのはその為です。
尚、組織・細胞検査(細胞診)の判定を行うための染色方法としては「パパニコロウ染色」・「ギムザ染色(メイ・ギムザ染色)」・「HE染色(ヘマトキシリン・エオジン染色)」の3種類の染色方法があります。
中でも現在、腫瘍の良性・悪性の判定では「パパニコロウ染色」と呼ばれる5段階の判定法が主流の判定方法となっております。
【パパニコロウ染色による分類・判定の基準】 | ||
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クラス | 定性 | 判定内容 |
クラスⅠ | 陰性 | 異型もしくは異常細胞を認めない |
クラスⅡ | 陰性 | 異型もしくは異常細胞を認めるが悪性の疑いが無いもの |
クラスⅢ | 擬陽性 | 悪性の疑いのある異常細胞を認めるが悪性と断定できないもの |
クラスⅣ | 陽性 | 悪性細胞と判断可能だが比較的悪性の特徴に乏しい |
クラスⅤ | 陽性 | 明らかな悪性細胞を多数認める |
尚、パパニコロウ分類は大きな範囲での分類しかできないため、日本ではパパニコロウ染色による判定を母体として作成された「日母分類」によって、分類されるケースも多くなってきております。