痴呆症(認知症)初期症状

日本国内で推定患者数300万人に迫る若年性・老年性痴呆症(認知症)の初期症状、及び診断基準を初心者向きにわかりやすく解説。

◆痴呆症(認知症)初期症状の解説(もくじ)

◆記憶力障害の初期症状の具体例

 母が自分の顔を忘れてしまっているみたい…これは痴呆症患者の家族が体験する可能性のある状況です。記憶力障害は痴呆症の診断項目の中でも特に重要な指標です。ここではより具体的な例を参考にしながら初期症状を確認していきましょう。

◆記憶力障害は非常に重要な診断指標

 痴呆症(認知症)による物忘れと生理的な加齢に伴う物忘れの大きな違いが現れるのが、この
●記憶力障害
 の性質の違いであると言えます。
  ですから前項では5つの診断項目について触れましたが、記憶力障害の性質の違いの確認は重要な診断指標のひとつです。
 よくある物忘れのケースとしては以下のようなケースがあるかと思います。

●漢字が思い出せなくなり辞書を引く頻度が高くなった
●隣の部屋へ物を取りに行ったが部屋につくと何をとりに来たのかがわからなくなり、また元の部屋に戻ると思い出す
●一度会っている人で顔は覚えてはいるが、その場で名前を思い出すことが出来ない
●電話で知人と今度合う約束の話しをしていたが、電話を切った直後、待ち合わせ時間などを思い出せなくなる
●今日もしくは、昨日の昼ごはんのおかずなどが思い出せない
●自分で置いたものをどこに置いたか?と家族に尋ねる機会が増えてきた

 これらの項目を見ながら胸がドキドキされた方もいるのではないでしょうか?
 実は上記に掲げたような物忘れは、生理的な加齢に伴う物忘れです。
 このような物忘れは、他人から指摘を受けたり、ひとつのきっかけがあれば思い出すことが出来るケースが多くあります。
 例えば、一度会っている人の名前を思い出せないケースの場合、「一度会っている事をぼんやりとでも把握できている点」がポイントです。

◆記憶そのものが消え始める初期症状

 では次に痴呆の症状の場合についてどうなるのでしょうか?
 先程と同様のケースの場合で見ていきましょう。
 痴呆症によって記憶障害が発生しているケースでは、一度合っていた友人であっても
●会ったことそのものを覚えていない
 いわゆる、その記憶がごっそり抜け落ちている症状を示す傾向があります。
 これは間違いなく大きな違いであると言えます。
 電話で知人と会う約束をしていたとしても、その約束の時間や、待ち合わせ場所がわからないのではなく、約束そのものを覚えていない状態です。
 ですから、他人が指摘をしたとしても、本人の記憶にはその事実が全くない事から思い出すことはありません。
 このような傾向からもわかるように、記憶力障害による初期症状の発見は、家族や仕事の同僚などの第3者が何かしらの異変に気がついているケースが多いことも大きな特徴です。
 母が自分の顔を見ても自分とわからなくなってしまった…
 とても胸が苦しく悲しい状況ではありますが、これもやはり多く耳にする言葉でもあるかと思います。
 このような場合は記憶がごっそりと抜けてしまっている痴呆症の症状の代表であることを受け入れる勇気を持つ必要があると言えるかもしれません。(※この状況だけで確実な診断はもちろんできません)
 再度確認ですが痴呆症の物忘れと生理的な物忘れの違いは大きく以下の5点で異なります。
●記憶力障害
●進行性
●見当識障害
●物忘れ病状の自覚の有無
●生活障害・日常生活への支障の有無
 これらの検証を行うことで、病理的な疾患であるのか?
 それとも、生理的な加齢に伴うものであるのかを見極めていくことになります。